遠出

「…とは言っても、そんなに遠くも無ければ二泊も三泊もするわけでもないんだけど…」

「…もう学生でもないし、二人でお泊りというのもおかしくはないと思うんだけど…」
「そうだなぁ。まあ、いいんじゃないかな。で、何日泊まって来るつもり？」
「パスポート取った？燃油サーチャージも計算に入れた？案内の人とはぐれちゃダメよ？」

「そんな遠出しねェェェ！」
「ははははは、冗談冗談」
「あら冗談だったの？残念だわ…海外お土産楽しみにしてたのに」
「全く…あっちの二人（アルファ）に相談すると相談にならないけど
　こっちはこっちで違う意味で相談にならないという悲しい現実か…ッ」
「まあ、冗談はこれぐらいにして」
「一泊や二泊ぐらいならいいんじゃないかしら？でも夜には連絡を入れてね？電話でいいから」
「あとは当然といえば当然だけど、向こうさん…貴那君とそのご両親の許可が得られれば、だよ」

「……う、うん……頑張って誘ってみる。…それじゃ」

がちゃり、ぱたん。すたすたすた……

「…そんなに頑張るようなことかなぁ？」
「男は暢気ねぇ。女の子の方から誘うって大変なのよ？
「そうなの？」
「そうよぉ」
「……まあ、それもこれも…素晴らしき普通ならではの苦悩か」
「普通の人間同様背も伸びてきたから、本当に老いて人らしく死ぬかもね」
「それを見届けるのは、多分不可能なのがちょっと悔しいかな…」
「でも、そんなことまで考えたくないと思う自分が居るのも事実、ね」
「何とかならないかな？」
「無理ね」


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「……という訳、なの。うん」
「…ふむ」
「他の都市位まで、というわけでもなくて…九差津とかで温泉とか、そういうのもどうかな、って。うん」
「…そっちの親御さんは？」
「夜に電話でいいから連絡入れる様に、と…まあ今更泡と消えるなんて事も無いだろ、だって。
　あとはまあ…勿論といえば勿論だけど、そっちが良ければ、という話。
　…そういえば予定も聞いてなかった……で、大丈夫？勿論都合悪ければ………」






思考回路がまさしくショート寸前。温泉チョイスも自分で言っておきながら爺臭いかもと悩んだとか。